３連休末日

　厚木へ。模型店に行ってユキさんの好きなものを買う。
　私はよねでん線用に何か買おうかと迷った。
　大きな買い物は可動腕木式信号機取り付けが近づくのでしたくないし、またよねでん線にあんまり20m車は入れたくないので、結局模型の柳の木を買った。２００円。小倉志井駅の前に置こうと思う。
　家を整理していたら音楽ギフト券が見つかったので宇多田ヒカルの『ぼくはくま』の初回限定DVDつきを購入。
　で、図書館で本を借りる。家に帰って読む。面白い。というか、この人の別の本すでに買ってるよ。
　今回はタイトルだけでとりあえず借りたのだが、やっぱり面白い本の題名はちゃんと面白い匂いがするなあ。感心してしまう。
　そのあと本屋巡り。山崎豊子『華麗なる一族』を古本で買えないかと思ったが無理。でも新刊で買う金はなし。結局スルー。
　で、PSP用のカバーを買い、あとサブTVでステレオ音声が聞こえるように変換アダプタを購入。
　電気屋さんでマッサージ椅子に座る。ううむ、前は富士医療器の独走と思っていたが、ナショナルのリアルプロＸもなかなか高性能だなあ。ただ、富士医療器の『肩ぐうマッサージ』は特許を取ったらしくてナショナルには未装備。でも手を揉んでくれるのがものすごくありがたい。全身の揉み指圧もよく、終わって帰るときは体が軽くなってしまった。
　家に帰って早速柳の木をプラシートの上に植える。
　ゼリー状瞬間接着剤を盛り、柳の木の株を植えて、スーパー液で硬化させ固定させる。
　うまくいった。小倉志井駅前に置いてみる。いいかんじ。ちょっと大きすぎるかな。
　でも駅前の殺風景さはすこし緩和された。前は踏切しかなかったからなあ。

　おなかがどうしても空くので、晩ご飯は焼鯖を変更して焼きソバに。美味しかった。

　
　で、メモを取りながら読書。

精神科医とは何者であるか

『精神科医とは何者であるか』頼藤和寛

わたし、ガンです ある精神科医の耐病記 (文春新書)

『私ガンです　ある精神科医の耐病記』
　を書いた人で、産経新聞に連載をもっていた人の本。
　ものすごくわかりやすくて笑える。
　結局精神医学といいながら一番大事なことは科学的であったりベイトソンだのヴィトゲンシュタインだのと高尚であったりすることよりも、なんで治ったのかな、薬出して効いているというけど、薬で治ったというより長い時間をかけて人間関係が調整されただけなんじゃないか、孫が可愛く思えないと主訴していたけど要するに治療を開始してから孫と良く会うようになったらしいから、ほっといても治ってたんじゃないかなと思えてくるときに『いや、自分の＊＊療法のやり方が正しかったのだ』と自分を信じ込ませることが第一だという。
　科学的に言えば治ったか治らないかは効いていた薬をやめて事実悪化するかどうかという検証がなくてはならないけど、精神科の患者はそんなことをされたらたまったものではないし、精神科医もそれも了承している。せっかく積み上げた積み木をわざわざ壊すこともないから、結局何とか療法というのは『趣味の段階』だという。すさまじい。
　で、精神医学としていろいろな療法が開発されたけど、どれも特別ほかのより改善されたということはない。大同小異。だからもう精神医学においては精神医学の療法の研究は正直『趣味』の段階で、唯一脳科学が出口になるかも知れないけれどそうしたらこれまで文学的な精神医学的研究が丸ごと意味がなかったことになる。
　でも確かにそう考えるしかなさそうで、犬だって電気刺激で無力体験をさせればウツになるし人によって結婚式の席次を気にしたりするのは人間が大昔サルでボスザル以下の序列をもっていた時代の名残であるという。
　行動療法なんかも医者とか医療者にとってはひたすらつまらないけど、でも条件反射を利用するだけあって確かに効くらしい。でもものすごくつまらないという。
　強烈なのが『精神医学は人間だけの医学です。外科や内科は獣医科にもあるものですが、精神医学は人間にしかありません』と精神科に入ったときに言われ、そのとき頼藤さんは逆に『そうだなあ、獣医ってスゲエよなあ。人間の内科は人間しか診ないけど、獣医科は内科外科だけどころか馬牛豚から犬猫まであつかうもんなあ』と感心に思ったというエピソードが秀逸である。
　そして講演を頼まれたときやたらと具体例、『症例花子』を多くして観衆の関心を引いてくださいといわれたとき、『抽象的なことに関心がなく具体例ばかりに関心があるのは頭の悪い証拠ではないか』と思ったという。でもそうだよなあ。
　ここらへんの絶妙の視点はもうちょっと研究したい。

鶏がまた鳴いているようです。

　なにやらApemanとかいう方のページでうちをターゲットにしてうじゃうじゃ書いているらしい。

Apes! Not Monkeys! はてな別館 - なに一つ「事実」を提示せずに「事実について語れ」と主張するひと
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20070110/p1#c

　そこでこういうコメントを送った。

　当然国共合作も知っていますよ。でも、なぜ『関東軍の捕虜政策』が『関東軍特種工人取扱規程』だけで『不払いを合法化した』になっちゃうわけ？　だから、ちゃんと中身のある資料を出してくださいよ。作文はもういいから。あと、国際法ぐらい勉強してください。国際法がわからないのに戦争状態だの非戦争状態だのいったってらちがあかないですよ。あと、歴史は生きている人が作るものだと言うこともお忘れなく。

　で、書きそびれたが、当時の関東軍の捕虜政策の自己矛盾と言うが、それは関東軍の責任ばかりではないだろう。
　当時中央、内閣自身（特に近衛内閣にいたる当たり）が日中戦争を不定見で事変だの某重大事件だのといいながら拡大させた当時の政策的な問題があることは明らかである。なにも今回出てきた資料で新たにわかることなんか何もない。昔からの常識である。
　その拡大の原因は満鉄の防衛に駐留する関東軍に、満州に移り住んだ日本人が当時の馬賊匪賊やその他中国不法集団による攻撃を受けて救援を求め、それがあまりにも頻発するので石原莞爾が『じゃあどうせなら治安が安定するように王道楽土の国を作っちゃえ』と大フロシキを広げて満州国を作ったけど後に続いたのは我利我利亡者ばかりで結局どの国も納得せず消滅するいきさつがある。このいきさつだけで多大な時間が過ぎている。
　そのなかで中央は中国は面倒くさいと放置したり、責任逃れをしようとしたり、内閣が代わったりするなか、関東軍は現場で生き死に関わる中でその捕虜政策をなんとかまとめようと苦労したわけで、上から定見のある方針も与えられなきゃ現場は矛盾するとしてもなんとか作文して対応しようとしたわけで、矛盾して当たり前である。
　人間の組織とはそういうもので、トップが責任を持って方針を策定しないと現場は右往左往するしかない。武藤章はだからこそ、その間に立ってなんとか現場を守ろうとして証言したわけで、その証言が実情を表していたかどうかはまだ分からない。関東軍の管理していた空間と人員の広さを考えれば、武藤章がその隅々まで熟知していたとは思えない。信頼できる部下がいて、そのまた部下がいて、そこでやっているんだろうと信頼し、それに応えるべくかばって証言した可能性は十分にある。
　だいたい、そういう証言を迫られて『部下がやりました』と言い抜けようというのは今のホリエモンぐらいだ。普通は部下をかばう。だからこそ東京裁判は批判されるべきなのだ。
　あと、それと証言だけで罪を決めるってのは冤罪の温床だっていう真相究明の常識もこのApemanというひとのなかにはないようだ。
　確かに我々の祖父の時代にも我利我利の商売人はいた。軍人にも類似したものはいて、石原莞爾は退役を迫られたあと、その様子に『そのうち日本は４島（九州四国本州北海道）だけの国になるよ』と絶望的に言ったぐらいである。
　でも、それを含めて、このApemanというかたの歴史観には人間が登場しないのを感じる。
　ちなみに私は小学の頃朝日新聞の縮刷を図書館に存在する一番古いものから昭和３０年頃まで全部見るということをしたことがある。
　日本は空気が支配する国だと言われる。まさに空気が支配していた様子が幼心にはっきり分かり、恐ろしかったのを覚えている。戦前の鬱滞した時期、日中戦争が始まって南京が落ちて大喜び、真珠湾で大喜び。朝日新聞はそういう紙面を作ってきたのに、なんとその芯になるべき事実は大本営発表だけだ。で、当時大本営発表しかなかったという人もいるが、実際従軍記者もいるし、従軍記者の中には当時の小説家もいたのだ。決して暗黒ばかりではなかったのだ。
　歴史は生きている人が作るものだ。資料はあくまでもそのための道具であって、資料が出てきたと言って中身と見出しがちぐはぐというのはもうテンプレ取材の極みだろう。歴史観自身がもう固定されていて、なんの資料が出てきても冷静に見られない。それは戦中と何もかわらない。
　日本人はきっと悪いことをしていたんだ、謝らなくちゃいけないんだとあらかじめ構えて記事を作ったら、冷静に見ると、まあ当時混乱している中で、なんとかまともにしようとしたんだな、と元の記事では読める関東軍特種工人取扱規程となっているわけで、なんで鬼の首を取ったように騒ぐのか理解できない。
　第一そこで騒ぐ時点で事実解明よりも政治的な意図を感じるでしょ。ちゃんとまとめて、起承転結と５Ｗ１Ｈをはっきりさせた論文にしてくれ。見つかった見つかったと浮かれ騒ぐな。ウザイし馬鹿馬鹿しい。
　このApemanというひとは、事実事実言う前にもっと基礎的な常識とか素養とか、そういうものが欠けている気がする。この人に事実を要求したのは間違いだったようだ。常識がないんだから事実が理解できるわけもない。ただ呆れるばかりである。