ハウル見たヨ。

 ハウル見ました。
 メカファン的に言えば、魔法使い+第1次世界大戦、という感じで、なんだかずいぶんしっくり来るなあと思っていたら、あ、これ、架空戦記なんだな、と。
 だって***が*****の皇太子というのはセルビアのアレでしょ。
 で、そこから今の国際紛争のほとんどが出てくることを考えれば、全てがモノスゴク緻密な計算でできていることに、ただただ息を呑むしかない。
 しかし初日とはいえレイトでも満員というところがやっぱり宮崎駿だなあ。
 ハウルの声を当てていた木村拓哉はクセのない発声で非常に良かった。例の口調とかはなし。でも十分。
 問題はソフィーの声。違和感があったんだけど、後でそうならざるを得ない理由が見えてくるのだが、唯一ケチを付けるとしたらココだろうな。
 でもアニメファンというかオタというかも全て絨毯爆撃された感じで、圧倒されるのみ。
 『千と千尋』すらも小さく見えるこの迫力、絵の奥行き感なども言う迄もなく。
 目のごちそうと言うけど、物語としてのごちそうです。

 で、いろいろ見てみると、やっぱりほらほら、ぞろぞろと駿トラップに捕まった頭の悪いオタどもが。
 結局駿に我々は全員負けたのだと思う。
 後半の詰め込み過ぎとか前半の展開ユルメとか、それって全部計算のウチだと思う。
 それに、指輪みたいに荒涼と広がるのともちがう。
 宗教的な部分もあるし、もう日本趣味も抜けて、いわゆるファンタジーに寄った感じがまた絶妙。
 カゴメとか、どこでもドアとか、もうそういう枝葉も、全て計算されてのこと。

 家に帰って、現状を見て目眩がする。

 この段階からあそこまでたどりつけるのだろうか。
 遠い道程だなあ。

 こう思うことも、あーだこーだ抜かす愚かな人々も、『ハウル』映画の中にあった。

 真剣に自分を問い直してしまう。
 つまり、私のやりたかったことはこれじゃないのか、と。
 米田世界というのはあるはずだし、それが自我の健康的な境界の内側なんだけど、その境界が弱っていてかなり侵食されている。
 良い映画だった。面白かった。やっぱり狙い目は同じだった。『雑想ノート』で追いかけてきただけあって、あの一つ一つが全て頭の中に残る。
 残りながらも、一つも嫌味にならないところが感動的だった。
 しかし、苦しいことに、私もイメージを作る業者であって、ああいう上手い例を見てしまうと、自分の力の無さを省みてしまう。

 ちょっと、立ち直るまで時間が掛かりそうです。

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 瞬間風速的に3位になりました(11/8〜11/14)。おかげさまです。