■いま、乗りに行きます。

 この前乗ったVSE、乗り心地最高。
 車体傾斜がかかる感覚はソニックに似た感触。いや、ソニックよりも良かったな。いくつか速度制限があったのに速度感が落ちないまま進行。いや小田急がVSE専用の制限標を立てたという話は聞かないので、感覚の問題だろう。
 しかし2度しか傾かない車体傾斜ということで甘く見ていたなあ。2度で十分横Gが消える。まるでなにか別の乗りものに乗っているような感じ。
 インテリアがまたすばらしい。仕上げとかはさすが建築家設計。
 EXEではゆれまくっていた新松田より西側の区間でもわずかな振動しかない。
 やはり車体を高い位置の空気バネで支えるという連接構造車のみにできる構造も効いているようだ。

 VSEに乗るため移動。新宿には早着。ガンガンに通過する快速急行で新宿に着き、時間があると思って地下ホームのコパトールとかで時間を潰していたらVSEが入線していた。危なかった。
 乗り込む。独特の新車の匂い。モケットの埃の匂いがまだないので、できたての工業製品の香り。決して揮発油などの毒々しいにおいではない。

 新宿出発時に予約をして置いたお弁当の確認がある。
 買ったのはVSE弁当と懐石弁当。VSE弁当、容器が小さめかなと思ったが、底まで深くお弁当が詰まっていた。味もいい。お子さまランチかと思ったけど、大人でも十分。量もしっかり。
 食べている間にあっという間に町田通過。早い。
 カウンターに行く寸前に乗車証をもらう。
 カウンターはアテンダントの敬語がよくわからずこまった。こんなに敬語使うとはなあ。訓練したんだろうなあ。
 コーヒーがプレミアムコーヒーですごく美味しい。レギュラーと30円の差だったのだが、その価値あり。カップは昔のシートサービスの頃のものではなく、VSEのために作られたロゴ入りのもの。
 乗り心地がよすぎて眠くなるが、そのまま箱根湯本へ。
 湯本からの登山電車は接続列車に乗ると混むので、1本待つ。
 VSEの折り返しを見ると、新宿出発時にはあったが、箱根湯本の折り返しではミュージックホーンは鳴らなかった。
 
 実は、VSEについて、一つ子供の頃から思っていた謎が解けたことがある。
 それがこれまでの国鉄形食堂車の小窓。
 厨房の隣を抜ける通路の窓が上半分の小窓になっていた。
 なぜだかわからなかったけど、VSEに乗って分かった。
 通路の窓の下を大きくすると、通路を通る人が投げ出されるような感じになり、速度恐怖というか高所恐怖に似た人は長くいることができない。
 だから小窓になっていたのだろう。
 自分で驚いた。自分で理想の列車を妄想していたときには気付かなかった要素。
 まあ、これも慣れなんだろうし、これでVSEが良くないと言うつもりはないけど、発見だった。
 デザインには意味があるんだなあ。

 登山電車で強羅に向かう。
 車中で花粉症がひどくなったユキさん。同席した老夫婦からマスクをもらってしまう。ありがたいことである。人情電車である。
 ユキさんにハコトザと呼んでいる箱根登山を見せる。ここの名物、急勾配に急カーブを堪能。そのユキさんも最近は『これ501?』と江ノ電の電車の模型を識別するようになった。ますますの鐵夫婦である。
 結局大涌谷まで行って帰る。大涌谷では科学館が無くなっていた。あれれと思うと重機の群れが。がーん。確かに小田原の科学館と合併するって話はあったけど、壊したのか……本当に。
 たまごソフトを食べ、黒たまごを購入。
 
 すばらしい一日。

 帰りの列車でも面白いことが2つあった。疲れたので着席して帰ろうとしたら強羅で発券された特急券が駅員さんが『小田原からですね』といったのに箱根湯本から本厚木まで。その列車が入線するのを見ながら小田原に準急で移動してしまった。
 でも風祭だったかな。小田急の車輌では風祭のホームが短すぎるので、最後尾の車輌だけドア扱いをするのだが、実はそのドア扱い、車端の非常コックをつかって1カ所だけドアを開けるのだ。非常コックから空気の抜ける音がものすごかった。それが確認できて満足。
 で、小田原に着き、湯本からの特急で本厚木へ。LSEだったのだが、やっぱりVSEと比較しちゃうのは可哀想だなと思う。
 窓を固定するネジが剥き出しだったり、蛍光灯カバーがごつごつしていたり。あっちこっちやっぱりまだ昔の鉄道車輌の雰囲気があって、時代とは残酷だなあと思う。実は私の小学生時代一番好きだったロマンスカーはこのLSEだったのだ。登場したときはモノスゴク感動したっけ。興奮して何度も絵を描いたよなあ。
 で、本厚木で降りて、接続する準急に乗り込むと、あれ、車掌さんが見た顔だ。
 実は、小田原で特急を待っている間に風祭のドア扱いを見た準急が先行していたんです。ありゃりゃ。
 でもこの時期の小田急の各停に長区間乗るというのは危ない。各駅でドアが開くので暑さ寒さがぐちゃぐちゃになる。特にドア側の席は、新車では風よけがあるけど旧車では鉄パイプの手すりだけで、風が吹き入ってきて風邪を引いた経験がある。
 無事海老名に着く。その日はちょうど『街並みシリーズ3』の入荷日で、グリーンマックス海老名に電話して在庫を確認、購入。
 しかし中国人って恐ろしいなあ。ここまで作り込んであるものがたったの360円。これじゃいくら『作る楽しみ』でもおっつかないよ。庇や柱の塗り分けどころか、今度は店舗の店内まで作ってある。
 喫茶店が特に絶句モノ。店の奥のカウンターの奥のカップも表現。カウンター席4つ、ボックス席のテーブル2つも別パーツで表現。レジスターまである。それが大きな透明パーツで表現されたガラス窓の向こうに見える趣向。これで360円。
 中国人は恐ろしいなあ。良い意味でも悪い意味でも。これでデザインとか企画まで中国人がやり始めたら日本経済は大変なことになると思う。

 ごはんは家でマーボー豆腐。サッカーは勝たなかったが、それ以外は幸せな一日。

 お金はないといっても、使えばなくなる。
 なくなったぶんは稼げばいい。
 収入も、残念ながら小説家事業の収入は連続して出してた頃よりは減ったけど(あのころは今考えると大変だったよなあ)、こっそりやってた仕事が定期収入になっているので、まあ心配しすぎることではないなと。
 悔しいけど、それが現実。それも小説書きだ、と思う。
 
 夜、チャットでユキさんが『デンジマン』の歌を思いだしている。良く覚えているなあ。