尼崎事故、現役運転士の声。

 かつて海老名高校鐵研総裁で現某地下鉄運転士の贄川君来訪。
 実に7年以上ぶりにあったのだけど、相変わらずだなあ。
 で、ちょっと温泉に行こうという。
 その温泉が、いきなり箱根温泉でした。
 いきなりすぎます!
 てっきり相模原のスーパー銭湯ぐらいだと思っていたのに。
 いきなり東名に乗ってしまう。びっくり。
 しかも乗ってきた車が67年のオースチン・ミニ。
 作りが凄すぎます。スライド式の側窓。ドアミラーも窓に着いているので窓を開けるとミラーが動いてしまう。
 凄い走り。アイポイントが低いからコワイのなんのって。
 ギア入れて加速すると、どこに吹っ飛んでいくか分からない。
 しかもものすごいローポジションでぐいぐい高速道路のカーブを舐めていく。
 こわい。マジ言って怖い。
 メーターもなんだか全部傾いているし、マニュアル操作のトグルスイッチは多いし、ギアレバーもバスみたいだし。つか、バスというか電車の運転室の内装っぽい。
 あれ、FCはどうしたのというと、とっくの前に手放したとのこと。
 贄川君と贄川君の友達とユキさん、そして私でミニに収まっての箱根だった。
 なぜか東名に乗ってしまい、御殿場までドライブ。
 御殿場から箱根に入っていって、箱根の日帰り温泉
 箱根の湯に浸かりながら、厚木市D51保存会の話。
 で、食事を取って、小田原厚木道路(オダアツ)で帰宅。
 しかし、本当に相変わらずだなあ。
 お互いそれぞれの道を来たけれど、私のほうは腹が出てしまったなあ。
 日帰りという事で夜には帰宅。楽しかった。
 いろいろ鉄話もできて良かった。そうか、都営大江戸線はそういうこともあるのか。
 尼崎事故の話も。軽量車体とボルスタレス台車の組み合わせだと若干加速度に弱いのではないかという。バランスを崩しやすいとか。
 まあ、制限速度を守って運転できればいいのだが、無理なダイヤ設定も多いという。
 とりあえず、贄川君は運転士になってからかなりたつ。無事故で良かった。意外と小さな事故なんかは会社によっては隠してしまうらしいからなあ。マスコミOBを顧問に入れて揉み消すとか。社内報に数行書いて年収何千万、しかしちょっと事故が起きれば火消しに。
 信号故障とかいってても、実は脱線して信号柱に接触して、それを信号故障と矮小しているなんて事もあるという。ほんとかいな。
 でも、JR西なんかは年に運転士が7人自殺したこともあったという。ストレスがものすごいとのこと。
 そんな事情を聞いてしまった。

 安全装置なども、本来は安全のためなのに、安全を旗印にむやみやたらと運転士を疲労させる仕組みにしてしまい、疲れないように安全装置をごまかしてしまうということもあるという。運転士を常にベストコンディションで運転させるのが本来であるのに、安全装置が結局安全を作ることではなく、責任を運転士の責任に局限するだけの会社側の言い訳装置になっているようなことも話していた。
 有意義な集いだった。世の中が段々優しくなくなっていくことを思い知らされた。なんか、決まりで決まっているからその通りにしろみたいな。決まりは決まりだけど、その決まりというラインに触れる前に正常な安全感覚とか気遣いでラインへの抵触を防ぐのは普通だと思っていた時期のあった私だが、でも今の世の中はなにかにつけ限界一杯まで互いを主張し罵倒しあう社会になっているのではないかと思う。
 運転士の就業なんか、ルールがあると、行きすぎた合理化でルールギリギリ一杯まで働かせる。つか、ルールもどんどん済し崩しに過超になり、今のバス運転士の就業状況なんか、事故がいつ起きてもおかしくない状況まで追いつめられているという。

 あと、バスでは急ブレーキによる車内事故(バスの乗客の怪我)の扱いで、他の飛び出してくる車にぶつかりそうになったら急ブレーキを踏んで回避して車内事故を起こすよりも、軽く相手の車にぶつけて物損にしないと運転士の責任になってしまうという。他にもバスの会社によってはバスに保険をかけず、運転士の自分持ちにしているなんてのも。
 なんだかなあ。
 贄川君はそういいながらも、決して沈痛な顔をしない。それが彼の強いところだと前々から思っていたけど、健在だった。
 これからもご安全にと思う。