競争力

 とある人の小説についての話を読んでいた。かなり貶されているというかこの分野をバカにしているとかいう意見があるけれど、でも今読んでみると、当たり前のことだなあと思う。
 結局人間には24時間しかなく、ユーザーの仕事睡眠食事お風呂と費やしていった残りのわずかな時間をエンターテイメントは奪い合うわけで、となると小説はテレビやゲームやマンガよりも読みやすく面白くしなければいけない。その点で読み応えなどと言っているのは有名な先生の本であって、私のような底辺作家は読みやすく切れの良い作品を書いていくしかないのだ。
 特に黙っていても展開するテレビやDVDとは違うけれど、この前ユキさんがやっていたファイナルファンタジーXを見ていると、これは小説のほうがある意味ずっと芳醇に描けるんじゃないかと思う。CGは素晴らしいけど、でも物語の力としてはCGに頼りすぎているし、演出のタイミングもずいぶん検討の余地がある気がする。
 特に、間合いを考えると、活字は味わいとか余韻を読者が自由にとれるところとか、好きなところを何度でも読み返せるリニア性とか、まだまだ検討に値するメディアだと思い直す。
 もちろんそこで個々の知識オブジェクトに頼ったこれまでを私自身を反省するけれど、でもやれることはまだある気がしてきた。