『ハチミツとクローバー』

 む、やや、予想通り『森田先輩みんなを助けて!』になってきたな。
 でも、それで助かっちゃ話が終わってしまう。
 竹本君が劣勢なので、ここで逆転打が必要なのか、それとも森田さんがそれも飲み込んでしまうのか。今や森田さんローマイヤ先輩並みに甲斐性ある男になってるもんなあ。
 やっぱりまた『返し』があるんだろうな。
 はぐちゃんは描けなくなることを怖がっている。
 森田さんは描かなくても大丈夫という。
 でも、はぐちゃんは描き続けるだろう。手が動かなくても描きたい絵のイメージはあるはずなんだから。
 だけど、手が自由だった頃の記憶が残っている内は苦しい。
 森田さんはそれを分かっていて、はぐちゃんを守ろうとしてる。
 竹本くんが第三の答えを導き出せるか。


 物語とはつねに第三の答えである。
 できる、できない、成功する、しない。
 そんな対立のなかから、別の方向へ。
 数学で言うと虚数方向なのだ。
 実数の世界に生きている我々は、虚数方向が見えない。
 だから、その第三の答えが出た瞬間、はっとする。
 物語を作ると言うことは、虚数方向へ物語世界を拡張することである。
 虚数方向は普通の人には思いつかない。だから普通の人は、この虚数方向を書けると喜んでくれる。
 まあ、そんなに簡単にはいかないんだけどね。自分だって結構普通の人間だし。
 資料調べをしていると、どうしても実数方向ばかり考えてしまう。
 その実数方向の情報の次元を拡張してみると、だいたい虚数方向だったモノが、じつはちゃんと一次元増やしたところに存在している。
 気付くのは大変だけど。

 
 『サムライカアサン』5月単行本刊行決定記念。
 でも今回はしみじみだったな。
 前回と前々回がしみじみだけではなくギャグまで決まっていたのでやや徐行気味だが、でも長く書いていって欲しい。楽しみである。
 というか、上手いんだよね、省略された絵がとても私好み。ものすごくシャープ。
 子供の表情とか、上手いよ。清々しいモノがある。
 単行本も楽しみ。