マンションの5月

 大変ですよ。なにしろ総会がある。
 これがまた大変で、私はペット問題担当なんだけど、他にもこの前やったマンションの大規模修繕の報告をやる人たちとかもいるし、他にも管理規約の改定専門の人たちとか、ホント、マンションもまた人の組織が通っているんだなと思う。
 マンションでの決まり事を現実に即した形に改良する仕事もある。
 たとえば自転車置き場にしろバイク置き場にしろ、その使い方を結局口約束で行くわけにはいかないので書類を交わすわけで、その書類もひな形を決めなくてはいけないし、オートロックのキーの貸し出しや、マンションの室内のリフォームにも取り決めがあり、それもまたおなじように書類のひな形が必要。
 それも毎回こまこまと変更があるけど、でもそれがすべてマンショントラブルのもとになりかねないので、念には念を入れ、その上で総会に提出して議決してもらうための議案書を作ることになる。
 なにしろその議案書を作るにしても輪番制の理事さんで集まって決定しても、そのあと役員が決定に従って議案書を作らないと総会ができない。理事会で議決できることもあるけど、1年分総会で議決しなければならないことがたまっているのだ。それも理事とか役員も大変だけど、その総会に区分所有者に集まってもらうのも大変。
 その役員の人たちの中には厚木のこの郊外からおつとめに東京に通い、その帰りに20時から24時まで集会室でその総会に関する書類と準備に忙殺される人もいる。実働16時間みたいな人。お風呂とか食事とか睡眠とかどうやっているんだろう。通勤時間もきついと思うよなあ。
 私はたまたまペット問題専門なので、こうして日記を書いたりする小さな時間があるけど、そういう人は全然時間がない。
 また、場合によっては交渉事になったり難航したりする。
 でも、マンションにこれは必要なことなのだ。


 海老名とかに行くと、マンションがうじゃうじゃと林立している。
 でも、どのマンションにも管理組合があって理事会があって、みんなそこでがんばっているんだろうな、と思うようになった今日この頃。
 故・山田正弘先生も最後に現代のマンション問題を書きたいっておっしゃっていたなあ。


 架空戦記も思うけど、艦艇もまた人が動かすもので、艦の中には『亡国のイージス』で有名になった先任曹長がいたり、艦内の風紀をただす甲板士官がいたりするし、また艦の中でも射撃管制や火砲の整備をする分隊、搭載するヘリコプターの整備をする分隊から拙著プリンセス・プラスティックでみんなにご飯を配っている主計科の矢竹さんみたいな分隊もある。
 保存されている艦にはそういうものはないが、動いている艦にはそれがある。
 今度もし自衛艦などをご覧の際は、あの鋭くエッジの利いた艦容とともに、それを維持するために一隻で150人近くいる乗員のことを考えていただけたらと思う。みな親も子もいる生きた人間なのだ。


 マンションも、昼間は不在の多いワンルームもあるだろうけど、ファミリーとして生活をしている人々がいる。お父さんの中には夜勤の人もいるだろう。ファミリーの中にはお母さんに子供もいれば、故あってフリーターやニートをやっていたり、病に苦しんでいる人もいるだろう。体の弱ったご老人もいるだろう。
 みんな生きている。最近よそのマンションを見ても、そういうことの大きさに胸がしめつけられる。
 偽装マンションの話もあったな。
 なんだか知らないけど、最近、マンションを見ると思いがあふれてしまうのだ。