糖尿病教室

 生活習慣病という。
 ところが、『生活習慣病の主治医はあなたです』という。(糖尿病についてのテキストより)
 ちょっとまて。いつから主治医がそんな市井のシロウトになってしまうのだ?
 生活習慣病を治すには、医師国家試験に合格しろとでも言うのか?
 ちがうでしょ?
 だったら、医者として生活習慣病に関係する医学の知識を開示してくれるのがまず先ではないか。
 そして、知識はそれのみによって存立しているのではない。誰がどう研究し、裏付けを取ったのかが大事になる。
 そこで、医学をもとに、シロウトでも理解できるテキストを作り、緊急時、シロウトに今自分がどうなっているかを判断できる訓練をするのならわかる。
 でも今日まで、そのどれ一つせず、ケトンでてるヤバイね、血糖高いヤバイね、節制節制。そればっかり。
 いったいこれ以上何を節制しろというのだ。
 特にユキさんに限っては酒もタバコもやらない(私もタバコは吸わない)。
 マンガには書いているけど、現実にはもっと節制している。そうしないとマンガとして面白くないから、デフォルメして書いたのであって、命がけで必死で節制した。
 それが、さらに節制しろ、『生活習慣病の主治医はあなたです』。
 人を馬鹿にしているのか。
 主治医が必要な病人に責任を転嫁しているようにすら見えるのだが。
 その医者自身、ワーカーホリックでタバコすぱすぱ酒も鯨飲、それで患者には節制。
 これが21世紀の医療なのか?
 これ、本気で生活習慣病を減らそうなんて思ってないんじゃないのか。


 と血圧が上がった。糖尿病教室のテキストの一角のその言葉で、これまでユキさんの看病で思っていたことが全て怒りに変わった。
 第一、血糖が500になって、そこからどんどん上がり続けたらどうなるか、と調べてもぜんぜんわからない。
 ケトンはどういう動態なのかも分からない。
 まあ、今日それが分かったので良い。血糖が上がりすぎると脱水を起こし、電解質異常を起こし意識障害になると分かった。
 だいたい、ちょっと血糖計ってぜんぜん下が100台にも行かない人間に低血糖のことを耳にたこができるほど教えて、500よりもさらに上がるかという状態で心配しても低血糖の話しかしないのは医者としてパンを求めている者に石を与えている状態じゃないのか。
 『生活習慣病の主治医はあなたです』はとても誤解を招く表現だと思う。
 実際この言葉で本も出てるけど、現実に苦しんでいる患者が読んだらどう思うのか、作者は思い至らなかったのか。高名な医者なのに。目眩がする。どうも医者、それも一部の少し文章の書ける医者というのは、デリカシーにものすごく無頓着だったりするのではないか。いや、デリカシーのないひとは一定数度の業界にもいる。でも、医療からデリカシーをなくしたらと思うと、円滑な医療環境の構築、治療関係の成立はあり得ないだろう。
 そういうなら、『精神疾患者の社会復帰に必要なことは患者が精神疾患の主治医になることです』というのも言えるし、それがきわめて希な例であることも良く分かると思う。



 でも、今日買った資料は良かった。他にもいろいろ買って勉強してみようと思う。


 しかし、こんな教育指導もろくになかった前の病院、いったい何だったんだ?

外食コントロールブック―ダイエット、糖尿病治療のための

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