和泉かねよしの短編

 は良いと思う。

二の姫の物語 (フラワーコミックス)

二の姫の物語 (フラワーコミックス)

 『二の姫の物語』は表題作ではなく収録作の『サーキットの女王様』がレースクイーンもので特に興味を引いた。少女漫画なのに少女漫画的なくどさがないところがこの人の色なのだろう。でもちゃんと少女漫画なんだよね。エロではなく独特のツヤがある絵に、うーん、女の子だよねー、みたいな描写がツボ。

 特にここ数日、『バクレツ大和撫子』を読んで、この人の深みを知った。いや面白かった。ちょっと体育会系と家庭複雑系のマッチングで、なかなか妙味である。
 WAC(女性隊員)が普通科に入るという設定だけど、今空自じゃ高射群なんか女の子多いみたいだしなあ。でも普通科かー。そういえば最近のコンバットマガジンで機動隊の出動服姿の女性警官が載っていたな。機動隊の出動服で女性ですよ。あの機動隊の。世の中変わったなー。昔だったら大盾を持って、ヘルメットかぶった過激派の投石や火炎瓶と戦って警棒でシバキ倒すのが機動隊だったのに、今じゃH&Kもったりヘリから降下したり。時代は変わった。
 一時期、とくに旧防衛庁の末期、自衛隊が広報に突然力を入れ始めた。で、某自衛隊マンガだの某自衛隊映画だのが出て、作り手もまだどうやったらいいかわからず迷作がいくつも生まれた。まあ仕方ないんだけど。自衛隊広報もどうPRしたらいいかわかんないし、左翼団体のけちも付きまくりだったから、自衛隊側の演出への要求も多かったし、それ以上に作り手も気を遣った。
 でも、すこしずつ自衛隊広報もとにかく存在していることだけでも出ればマシ、ということになって、いろいろ今度は本当にまともなものが出るようになった。残念ながらマトモじゃないもののほうが大資本から出たけど、小資本ながらまともな作品もすこしずつ出てきた。
 で、平成のいまではイカ○ス出版のある時代である。もうこれまで軍事研究とPANZERとコンバットマガジンとGunしかなかった時代が嘘のようにいろいわかる。でも、なんか既視感のある文章だなとよく考えたら、自衛隊冬の時代にコツコツとネタを書いていた知っている人々が大挙して書き手になっている。
 いいことなのだけど、ただねー、心が痛むものもあるんだな。やりすぎというか。
 実は、いくら女性型女性サイズ戦艦をこっちが出したからって、おっぱいを飛行甲板にするこたぁないだろと思いつつ、真剣に落ち込んだ(マジで)。どこに出しても恥ずかしい、という売りだけど、あれ恥ずかしすぎだよ。頭痛くなったもん。
 そういや昔、陸自の人に取材して、ゲーム『大戦略』の話になって、エリート兵って一般兵より足が速いことにゲームではなってるんですけど、熟練した選抜部隊と一般部隊で行軍速度が変わるなんて事ないですよね、といったら、うんにゃあるよ、といわれた。
 道路とか平地とか、そういう誰でも考えそうなところを行軍していてはねらい撃ちになる。
 というわけで道路外の茂みとか雑木林とかを通るんだけど、そういうところに道を作ってサクサク前進するとか、そういう場合ではやっぱり選抜部隊はその速度が優れているらしい。ゲームでは平地や道路も足が速いエリート兵だけど、よく考えれば他にも体力検定が自衛隊にはあったなあとか今更思う。確かに速い。