参院選07について・僕は君のためにこそ負けに行く

 今度の選挙は、民主党が勝つかどうかではなく、民主党が『完勝』するかどうかにある。というか、民主党の票のとりこぼしでそのまま民主党がいかに嫌われているかはっきりわかるところだろう。
 現在どれほど民主党に追い風が吹いているか。キューマ危機、格差社会官僚主義年金問題。本来なら民主党は千載一遇のチャンスである。
 ところが、それをとりこぼしかねないのが民主党クオリティである。まだブーメランの可能性があってしまう。常識的なら民主党の勝利だろう。自民党は勝ち負けではなく、負け方を考える段階のはずだ。
 でも、民主党民主党なのだ。元社会党から新進党右派までが同居している野合政党なのだ。自民党55年体制が崩れ、小泉改革族議員も壊滅したのにそれに代わる官邸のイニシアチブが出せない臆病優等生である安倍体制となった。
 私としては本当に迷った。安倍政権の鈍感さにはあきれはてるところもある。
 だが、中国国内の情勢を見ると、安倍政権であと数年、3年程度は我慢せねばならないかと思っている。朝日新聞を敵情監視のために購読しているが、朝日新聞でも中国国内でほぼ毎日おきている暴動、日本よりもはるかに苛烈な格差社会への不満がかくしきれなくなっている。国際面のすみに押しやっているが、毎日暴動がおきているような状態である。
 そして佐藤守先生 http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/ の言うとおり、2008年はまさに転機である。さまざまな情勢が一挙に変わる年である。オリンピックであるが、まさに幻の戦前東京オリンピックになるか、それともナチスベルリンオリンピックとなるかというところである。チベット侵略を忘れてはならないし、現実に実施されている一国二制度となった香港は影に日に行われている激しい言論弾圧の結果、経済的な成長という数字でごまかしているが、これまで聞こえてきた香港の話題が急激に減少している。二制度であれば香港の立場もありえるはずなのに、一国のなかに飲み込まれている。これでは同じ一国二制度で大陸が台湾を統一するなんてのはありえないことがよくわかる。
 商売人はその時々の金にしか関心がないから牛のハンバーグのはずなのに豚のハツと牛の血を固めて作ったものでも金は金と思っていたようだし、インサイダーだろうがなんだろうがおいしい話を聞いちゃったら株を操作して金にしなきゃいけないし、粉飾決算でも時価総額でも金がその場あればいいのだ。それがあとで罰せられても再チャレンジ社会なのだからいいのだろう。
 金で買えるものは多い。ほとんどのものが金で買える。でも、歴史とそれによって成立している国家はまだ買えないし、おそらく国家の機能は経済だけでは語れない。国家と経済とメディアは、それぞれ存在しつづけるし、それはそれぞれと関係しながらもテイリツするしかないと思う。
 ゆえに、いくら経団連が中国を商売相手と見ても、中国ビジネスはむしろ短期の投資としては危険だ。
 長期的にはビジネスの相手になるとしても、今の中国の政治、中国共産党のリスクを考えると、よほどリスクを分散させない限り投資としては危険だと思う。
 中国はいまだにメディアも経済も政治が支配できると思っている。しかし、テイリツするのがその三者である。経済が暴走すればメディアが嫌味を言い、政治が規制する。メディアが暴走すれば経済はメディアから資本を引き上げ、政治が圧力をかける。政治が暴走すればメディアが風刺し、経済は他の政治勢力に肩入れする。
 その政治が暴走しているのが中国である。
 その政治暴走は段ボール肉まんにも絡めて描けそうだが、私はあえて、僕は君のためにこそ負けにいく、と思っている。朝日新聞もかなりおかしい紙面構成になっているので。