キューティーハニー庵野版を見る

キューティーハニー庵野版DVDをレンタルで見る。
 いや、バカにして見始めたんだけど、バカはバカなりにきちんと筋が通って、良く出来てるよ。
 サトエリの衣装がしっかりアイドル映画しているし。頻繁に着替えるよなあ。それもぃゃらιぃ〜衣装に。
 案外拾いモノだなと思う上手いシーン構成。
 ビルがぶっ飛んでも、その焼け跡にいるオジサンの『びっくりしたなあ、もう』で済んでしまうところとか、『2番は省略しておこう』とか、もう登場する役者の持ち味がこんな具合に使えるとは。
 びっくり。もっとイタいシーンの連続するどうしようもないモノかと覚悟していたけど、ちゃんとそこは『あ、マンガなんだ』と頭の構造が切り替わるように演出してある。
 そこで特撮アクションとしてはかなり上質です。
 下手にシリアスを入れないところが流石である。
 かすかに上手くシリアスが入っていて、一瞬止まるけど、でもそこからもちゃんと復帰して後味が良い。
 実際考えてみるとかなり暗くなりそうなのだが、キャラクターたちの明るさにかなり取りかえされて、すっきり。
 まさか**(地物)がああなるとは思わなかったし、最後のシーンできっちりヨセにはいるところとか、やっぱり上手いなあ。
 まさか**(組織)が出てくるとは。
 分かる人にしか分からないと思うし、分からなくても問題はないのだが、楽しい。
 それに、途中で銃を渡されるシーンがあるんだけど、マガジンが無くなって、どうなったのかなと思ったら最後に残り1発のみという演出で効いていた。びっくり。
 ほかも不覚にも感動しちゃったよ。イロモノのハズだったのに。
 4天王のうち、ミッチーのキャラが良くできている。
 そしてラストの悪のボスの執事のシーンの忠誠心には涙もの。きっちりしてるわ。
 良いもの見ました。
 でも映画館だとこんなに馬鹿笑いしながら見られなかっただろう。
 かといってDVDオンリーでは予算も取れないし、ううむ。
 エンターテイメントという点で考えさせられました。
 楽しい。
 いや、詰まらぬ連中がウェブで『寒い』だの何だのと言ってるけど、それはもともとそういうコミック、マンガなんだということを理解できる頭がなかっただけのこと。
 話の構成としては冒頭の海ほたるに集まった尋常じゃない数のパトカーとか、そういうもので了解して頭を切り換えるべきなのだ。
 そういうコミック的な映画なんだから、そう見なくちゃいけないのにいちいちケチを付ける。
 アンタらのほうが観客としてサムいよ。
 あんたらは見なくてよし。普通人として普通の映画を見ていればいい。
 『セカチュー』とか『黄泉がえり』とか見てればいいんです。
 そういうものがいかに先人たちの苦労にただ乗りに近いか、そんなことも分からずに『泣きました〜』とか観客インタビューに使われてればいいんです。
 もう完全に住む世界が違うんだから。
 セカチューとか黄泉がえりとか、もうストーリー紹介だけで腹一杯。
 『これで泣けないという人は人間じゃない』みたいな押しつけを感じさえしてしまう。
 世の中にもっと何気なく泣けるモノはいっぱいあるはずなのに。
 なんだか、『義務的に』泣かされそうで、見る気が失せます。
 でも、ちゃんと記号として理解できるもの同士でやりとりされる物語としては『キューティーハニー』は成立している。
 記号的なモノとして『イノセンス』とかの押井さんの映画もあるけど、『イノセンス』は実際よく見てみるとただ難しげに語っただけで、その実の当人の理解がイマイチだなと思うのです。
 現実に問題は確かに存在している。それもモノスゴク難しい問題が。
 でも、それについて理屈をこねても、それは表現者の中でクリアされなくてはいけない。
 『イノセンス』は難しく、格好良くしようとしたんだろうけど、現実にはモエもないし、理屈は置きっぱなしだし、カタルシスも美学も鼻にはつくけど快楽にはならない。
 でも、『ハニー』は期待させないでいながら、そこからワンダホーに展開する。
 私にとっては拾いモノでした。

 『CASSHARN』とかも悪評を目にするけど、紀里谷さんの弁を聞いていると、やっぱり悪評の理由を調べたくなるので見たいが、TSUTAYAではレンタル中ばかり。
 『関白失脚』が聞きたくなり、さだ30周年ベストを借りる。笑う。ブックレットも素晴らしい。

 ちょうどこう言うときに食卓にサツマイモご飯が載る。
 女子の方々に覚えて欲しいことだけど、男子はこういう『甘い系』のご飯は苦手なのです。
 ちょっと行き違いが生じてしまった。
 でも、こういう小さな事で、すこしずつお父さんとお母さんになっていくのかなと思う。