米田淳一と秘密の計画

 今日、これまでお話ししていた秘密計画についてお話しします。

 それは、自前のサイトでの書籍データのオンライン販売。
 現在電子出版のシステムはいろいろありますけれど、閲覧制限があったり、専用リーダーが必要だったりしました。
 しかし、私が売るのは生テキストデータです。
 ブラウザもダウンロードする機械の制限もなし。(Netscape4.7以前はちょっと難しいかも知れないけれど)
 テキストエディタさえあれば、どんな端末でも読めます。
 コピーや分割などの加工も可能です。
 で、今のところ、『極闘! 航空護衛艦〈ほうしょう〉3』完結編を上巻200円、下巻200円で提供するつもりです。
 煩わしい会員費などの発生する会員制度はありません。
 1冊合計で400円だけクレジットカードで払えば、それで読めます。手数料・消費税全て込み。
 一応、一度購入して、他の作品を買いたくなったときにまた氏名住所電話番号(いや一応、これは入力してもらわないと決済の会社が困るんです)を入力しなくて済むようにはなってますが、他のよけいなモノはありません。

 生テキストの販売の危険はいろいろ言われています。
 でも、果たしてその危険は、読者の『好きな本を好きなときに好きな形態で読むという自由』を制限しなければならないものなのでしょうか。
 3万4万もする上に電池もロクに持たないし、他に使い道のない端末を買ってもらって、何日後には読めなくなってしまうようなライセンス形式まで取って確保しなければならないほど、著者の描いたテキストそのものの命は弱いのでしょうか。
 そして、ちょっと隙を見せればすぐにファイル共有ソフトで不正にばらまかれるモノなのでしょうか。

 もちろん、そういう危険はあります。
 現実にデジタル万引きなどの例もあります。
 でも、そういう被害の数字、誰も上げていないのに、作家は皆コピーされることを恐れて、システム屋さんだの電機メーカーだの商社さんだのに莫大な中間マージンを認めているじゃないですか。

 私は、これを実験として立ち上げました。
 カードの利用明細に『米田淳一未来科学研究所 200円』と出るように決済の会社と交渉して、投資しました。
 それでもまあ、自費出版よりははるかに安いです。
 サーバとか、決済の一番クリティカルなところは会社にお願いし、他は自分で手当てしました。
 私のようなマイナー作家がどの程度このシステムで資金を回収できるか。
 海外ではノンプロテクトPDFでの販売をやっている作家がいるそうですが、PDFはファイルフォーマットとして大きすぎます。
 私は生テキストで行きます。

 もう決済に至るcgiperlプログラムの試験も終わり、支払い関係も終わり、あとは決済システム網に接続されるのを待つばかりです。

 Dデーは2004/11/8。

 今しばらく、お待ちください。

#つか、宮部みゆきさんが推協の会計やっているんだけど、その推協の予算見てビックリしましたよ。
 いや、みんな忙しいからツッコまないんだろうけどさ、青山の一等地のマンション借りた事務所に3人の事務職員を置くのは、まあ会員数も多いから仕方がないと思うけど、コピー機のリース代・年6万って何?
 今時コピー機なんかリースで使わなくても良いのに。ブラザーの複合機でいいじゃん。同じ額で3台買えるよ。
 その上、推協の公式ホームページ維持費62万円
 維持費ですよ。新設するんだったら凝ったページだからそうかな、それにしても贅沢なと思いますけど、維持費で62万円。
 で、会員の会費が私が入ったとき年1万円だったのが、今や2万4千円。
 その会費が余ったので、会員の同好会に補助を出すという。
 ちょっとまってよ。
 会員全員儲かってるわけじゃない。
 私より若くて、昼間は別の仕事をして、夜なべで原稿描いて、編集さんに読んでもらうのを待ちながら睡眠を削って書いて、そんな状況を少しでも改善しようとして2万4千円払う人もいる。
 同好会なんて東京でしかやらないものにそれを使うという。
 地方在住の作家さんだってすくなくないのに。
 その同好会も、神宮球場を使っての編集さんと作家の対抗ソフトボール大会だの。

 で、次々と出版社が苦しくなって、自費出版の作者負担分にたかって儲けようとしている。
 せっかくウェブもあるのに、推協は月に1回あるかないかの電子出版部会で会員を縛ることしか考えていない。

 出版業界も、もう何が売れるか分からないから、ちょっと前は数うちゃ当たるだろうと、初版部数を削りに削って数ばかり出す。
 それすら上手くいかなくなって、今度は作者から金を取ろうとする。
 おかしくありません?
 このまま言ったら全滅だよ。
 特に日本語使っている文化圏なんか小さいし。
 昔は100万部でベストセラーでした。
 今は、5万部でベストセラーです。
 おかしくありません?
 出版社が忽ち2刷とか、10万部突破とか言ってます。
 でも、一刷500部のこともあります。
 10万部売れたのではなく、ただ刷って在庫にして、シュレッダーにかけているものもあります。
 実は、全ての書店で何冊売れたか、書籍の業界で誰も正確な数字を把握していないのです。
 取次系列でも話が違うし、書店の売り上げにもトリックがあります。
 商売として、これは正しいことなんでしょうか。

 私は、覚悟を決めています。
 今後も紙媒体での活動も並行しますが、ウェブでもこういった試みをします。

 おりゃあああ。