川瀬さんとご飯を食べたヨ。

 川瀬浩さんと『町田スターホール』というプラネタリウムで上演される瀬名秀明さんの『虹の天象儀』をみる。

 プラネタリウムの閉館で、機械をしまおうとする説明員の見上げる、もう機械に照らされることのない漆黒のドーム。
 そのプラネタリウムに現れる少年。
 少年は星空を見たいという。
 今日は閉館を惜しむ人々で満員で見られなかったという。
 しかし、説明員は長らくはたらいてきた投影機を休ませてあげたいという。
 代わりに、とっておきのものを見せてあげようと説明員。
 それは、プラネタリウム投影装置の恒星球という球状の装置の中の風景。
 本来、恒星球の中にはランプが点けられ、そのランプの光がレンズに明けられた穴を通ってドームに恒星の明かりをともす。
 しかし、そのランプを取り除いて、中をのぞき込むと、そこには外の光がレンズを通っても一つの星空を描いている。
 それを教えた説明員。
 もう一つの星空。
 もう一つの時空。
 小さな頃からあこがれていたプラネタリウム
 戦災で焼けてしまった昔のプラネタリウムのパンフレットを飽きることなく眺めていた幼い日々。
 しかし、そのあこがれたプラネタリウムを自分が管理するようになって、しかしそれも閉鎖されてしまう。
 その昔のプラネタリウムの鍵。
 このプラネタリウムが開館するときに誰かが届けてくれた、その鍵。
 思いだして、説明員はその恒星球の中に入る。
 すると……。

 大きな船酔いのようなぐらつきの後、説明員のみたのは、セピア色の都市だった。
 それは昭和20年1月の東京。
 戦災をまだ受けていない東京。
 そして、あこがれた過去のプラネタリウム

 なかでは一人の女性が必死に投影機を補修している。
 説明員は自分がタイムスリップをしたことを認めながら、その投影機の修繕をする。
 無事また投影できるようになった投影機。
 その女性との話。
 本当の説明員である彼女の夫は、徴兵されて南方へいき、その後を彼女が守っているという。
 彼から預かったプラネタリウムの鍵。
 もうすぐ焼けてしまうプラネタリウム
 彼女は? 彼女の夫は?
 そして、歴史はもう変えられないのか?

 刻々と迫る運命の空襲の日。

 しかし、その説明員にも、女性にも、思いも寄らない奇跡が起きる。

 いや、まさかドラえもんオチとは思いませんでした。まさに瀬名ワールドです。
 いや、プラネタリウムトリビアから始まって、説明員の女性の南方に出征した夫を待って鍵を握っているところで思わず泣きそうになりました。涙しそうになったけど、プラネタリウムって上を見るから涙がこぼれなかった。
 力押しのようなドラえもんオチだけど、こういう話じゃないと救いがないよ。
 あと数十年でそうなるとは思わないけど、私的には通じるところがあります。
 またお話ししたいなあ。アメノミナカシステムとか、そういうものが共有できたらいいんだけどなあ。
 ま、アメノミナカのもともドラえもんもしもボックスってタイムマシンと同じだよね、という話なのだから、今更なのかも知れないけれど。

 で、川瀬さんと話。
 とりあえず、近況など。
 向こうは来年春の連載開始に向けて準備中。
 ちょっと致命的なダメ出しを食らうかと思ったら、案外技術的問題で、うまくいけそうとのこと。よかった。
 意外だったのが、マンガの世界から見ると文章の世界のほうが有利に見えることがあるそうです。

 今日、電車の中で、昔見たのと車内の風景が違う。
 コミック誌を読んでいる人がいない。
 暇を潰す人は携帯を見ている。

 コミックの中には、ストーリーでガチガチに行くものもあるけど、無視し得ない数の『暇つぶしに読んでいる』層があるとのこと。
 だから、前は電車で漫画を読んで暇を潰している人々がいた。
 しかし、今は携帯を見ている。

 文章だったら、携帯でも読むことができる。
 でも、マンガは?
 あの小さな画面では1コマ表示するのがやっと。
 台詞もほとんど入れられない。

 そうか。そういう考えもあるなあ。
 文章だと、紙だろうがPCだろうがPDAだろうが、読むことができる。
 でもマンガは紙媒体から離陸するのは難しいなあと。

 いろいろ他にも話をしたけど、余り良く書けなかったのでそのうち。