真冬の現実

 一人の社会人としての責任を求められる。
 楽しいことを書いて、楽しく読んでもらえればいいと思ってきた。
 それが、大ヒットという渦ではないけれど、中ヒットとしてできていた。

 でも、それじゃだめだと突きつけられた。
 
 ウェブ販売、景気良さそうに見えていて、実は微妙です。
 でもウェブにしか販路を見いだせない作品というのはあって、そういうものがちょこちょこと売れてます。嬉しい。
 
 それでも夢を仕事にするというのは、やっぱり難しい。
 97年以来9年目の現実に立ちつくす。
 
 久々にユキさんとケンカしました。
 仲直りしたけど、でも私の中では、自分のふがいなさに弱メ。
 あんなに稼いでも、結局こういう事態になる。

 何のために生きているかといえばこれまでは自分の夢のためだった。
 でも、その夢を支えてくれるユキさんと生きていくことが目的になった。
 二人で夢を追い求めた。
 楽しい日々だった。
 
 でも、夢に向かって歩む強固な信念はいつの間にか頑迷なコダワリになり、器用に客先が求めるものを求められる通りに作る最低限の商業の原則から外れることになってしまった。
 私に仕事として求められているのは『創作』ではなく『製造』なのだ。

 深夜、中島みゆきを聞く。

 こんなことを言えているうちは甘いのだ。
 仕事で魂を擦り減らし命を削っている人々に比べれば、私など甘い。

 私は仕事をしたことがない。
 家の手伝いとか、バイトはしたことがあるけれど、私にとって仕事とは命と魂を擦り減らし、罵声を浴び、考えるだけでも胸が苦しくなるほど追い込まれるものだと思っている。
 楽しい仕事というのは、甘いのだと思っている。
 苦しいからこそ、命を失う寸前まで詰めるからこそ、仕事なのだと思う。

 12冊商業出版で本を書いた。
 どれも苦しい仕事だった。
 でも、楽しかった。
 夢が形になっていくのが分かった。

 でも、それは仕事のうちにはは入らないのだ。

 楽しい仕事は、甘い。
 いつも、仕事しながら、こんなに労働で楽しいというのは嘘だと思っていた。
 バイトを辞めたのも、仕事が楽しいと思えたからだった。
 本来の仕事は辛く、苦しく、絶望的なものなんだと思い、小説を書いて生計を営んでいても、いつかこれは終わると思っていた。

 それでも、私、生きてた。

 こんな事ここに書くことはナンセンスなんだけど、でも、立ち直るきっかけがない。

 夢は半ばにして終わろうとしています。

 これが自分の限界なのかもしれません。