華麗なる一族・最終回を前に

 結局ここまで全話見たし、原作も買った。
 今回のTVドラマは原作の魅力をさらに劇的にしている。熱風炉爆発があんな遠くから眺望の中に見えるとか、原作をかなり脱構築しないと出来なかっただろう。
 まさに演出の勝利。あちこち原作を越えてる。
 で、DVD-BOXが出るだろうが、なんとなく初回特典に『将軍』が来そうな気がする。
『お風呂に沈めて、悩んだ時に手を打って呼び出し、語りかけてください。
 きっとこの将軍が浮かんできて、あなたに行くべき道を知らせてくれます』みたいな。
 でもぶっちゃけ、欣也パパの銀行生存術、無理な気がする。
 まずあんなスキャンダルまみれの銀行を生きのばすほど世間は甘くないだろう。欣也パパが策を打てば打つほど阪神銀行は汚れていく。ここらへん全く合理的ではないのだが、そこであがくのが業という描写が原作にもあったので、ドラマとしてはここにモチーフがあり、ここを崩したら全てが崩壊するので、まずこれは欣也パパの無理を無理として冷静に見る必要があるだろう。。
 あと、大同銀行のつるべ専務、冷静に考えてもみよ。いくら日銀派に牛耳られて不遇だったとはいえ、大同という預金順位もはるかに上位の立派な銀行を、阪神なんて汚れきった小さな下位の銀行に売り飛ばして、そこまでしても副頭取にしかなれない。ずっと欣也パパの下。そんな損得勘定も出来ずしてなんの銀行専務か。
 あと、敬介じいさん、やりちんすぎ。あっちこっち手を出して。ちなみにテペイキムタクも本来原作ではやりちんと言うことになっているのである。あんな格好良くない。
 裁判で言いがかりをつけられた阪神銀行、なんて図式になるというが、阪神銀行自身すでに叩けばいくらでも埃が出るのだ。こんな美味しいネタを前にマスコミが指しゃぶっているわけがない。どういう根回しをすればあんなマスコミ対策ができるのかも疑問。
 結局、欣也パパが閨閥結婚でうまくいったと思って子供を全部手駒だと思いこみ、思い通りに行かせたいという我を通しすぎ、本当の幸せは財閥の維持よりも家族の心の平穏であるという家を持つ者の当然の責務を軽視したところが結局の構造である。
 そこからグチャグチャになっていく。しかし、さまざまな企業の歴史を見ると、こういう同族企業から一般企業への切り替えがうまくいかなくて泥沼になった例は多い。
 やはりこの話もきっちり時代を切り取っていたのだ。その点で見所のあるドラマであるし、増してTV版はわかりやすく、ドラマティックな演出が効いている。失笑しかねないほど露骨な演出が楽しい。
 私の家でも珠子ちゃんをだっこしながらニャンピョウ財閥とかでプチブームである。
 今夜最終回。