『交渉人真下正義』初日行ってきました。

 いや、ぶっちゃけ、ポスターに載っていた悪役メカ・『クモ』の設計自身でかなりありゃりゃと思っていた。
 試験車だとクモヤだろとか、最低でも2〜3両編成だろとか(Mc-M-TcかMc-Tc)、フリーゲージでも無理があるんじゃないとか。
 やられました。すばらしい出来です。
 まずラピートっぽい前面だけど、これが地下鉄のトンネル内を走るとモノアイの赤ランプと共にいくつものランプが凶悪で怖い。
 一両編成だけど、これは演出上一両でないと困るのが判ったけどまあフリーゲージシステムで給電が上手く行かない時(パンタグラフの架線集電から集電靴による第三軌道集電への切り替えとか)のバックアップで一両にしたと納得する。つか、現実に事業用車、エンコした電車を引っ張る電車に1両単位のものが結構あるし。試験電車というと3両と思ったが、この場合は1両で正解。
 途中ゲージ変換シーンがあるけど、それも怖さを演出的に倍増させていてすばらしい。あのライティングは夢に出そうなほど怖い。
 とくに駅から見たトンネルのS字をクモが進んでくる姿が迫力があって良い。絵作りが上手く効いている。
 ラストもすばらしい。
 いや安いカタルシスだったらいくらでもあるんだから、踊るシリーズにはそれらとは一線を画すこのエンディングだよな、という仕上がり。
 問題は存在しつづけるし、ますます悪化していく。
 しかし、それにあらがう人々は存在し、戦いつづけ、そのなかで友情や尊敬、情熱や知謀が働く。それこそがodoru-legendのlegendたる意味であろう。
 ラストシーン近く、クモとSATの戦いもすばらしい。やはりあのモノアイはああなってくれないと。ツボを押さえた演出ながら、決して古くなく、どちらにも感情移入できる。
 あと、クモを追いこむ時の真下対犯人のやりとりも、さすが交渉人という心理戦。
 試写会で交渉人というよりはプロファイラーであるという人がいたが、試写とバージョンが違うのか、それとも見る人が気づかなかったのか。
 ちゃんとプロファイリングもCICメンバーがしながら交渉もしているし、交渉術としても上手い。
 感情が出過ぎるところもしっかり出過ぎていて、ちゃんとそれも想定内のところがいい。
 ユースケも、情けない男なんだけど、だからこそ、あの男気を見せた瞬間、涙が出そうなほど格好良かった。
 それに、別に次作の『容疑者・室井』に引っ張りすぎると言うところもないと思う。着いていけばどんどん面白くなりそうだし。

 良い意味で先が読めませんでした。怖いし、格好良いし。映画でこんなにドキドキしたのは久しぶり。
 つか、私は『踊る』シリーズ原理主義なので、『踊る』の世界を拒否する人を見ると、まあそうかなあという感じ。いいじゃんべつに。こっちは楽しいよー。
 
 結局クモのプラレール購入。海老名TOHOシネマズでは最後の1個だった。買って良かった。
 尼崎事故の直後でヤバイと思ったけど、でもそういう自粛をのべつまくなしにやると何も造れなくなる。これはこれ、それはそれと峻別するのが大人だろうと思うが。